固体流動説にもとづく東日本大地震のメカニズム

固体流動説にもとづく東日本大地震のメカニズム
1 日本列島全体の固体流動による海溝への流れ込み

東日本大地震の前後で、水平方向の地殻変動が国土地理院の地殻変動の観測データから認められます。震源に向かって流体が流れるような流線が認められます。このことから、この地殻変動が、日本列島を構成する岩石の固体流動であることが分かります。この岩石の固体流動が意味することは、日本列島に特徴的な大地震が、日本列島を構成する岩石の固体流動による日本海溝への流れ込みに他ならないという事です。東日本大地震の前から5年間の水平方向の地殻変動の国土地理院による観測データを見ると、本震の後も、本震前後の変動ほど大きくはありませんが、同じ線に沿う流動が続いていたことが分かります。これは余震に伴う地殻変動だと考えられます。

また、東日本大地震の前後の上下方向の地殻変動に関する国土地理院の観測データから、日本海溝側の陸地の本震前後の沈降が認められます。水平方向の地殻変動とこの上下方向の地殻変動を合わせて考えると、この地殻変動は、重力の作用で高所から低所へと向かう岩石の固体流動であることが分かります。東日本大地震の本震前から5年間の上下方向のの地殻変動についての国土地理院の観測データを見ると、本震後いくらか隆起しているものの、本震前と比較すれば、やはり沈降していることが分かります。しかも最も高くなっている列島の尾根の部分が沈降しています。
  

この国土地理院の観測データから、大地震とそれに伴う地殻流動についての次のようなメカニズムを考えることができます。
2 海溝の下のベニオフ帯

日本海溝側に限らず、海溝の下には、ベニオフ帯と呼ばれる、厚さが30km程の二重の断層面が存在します。

二重の断層になっているのは、2つの断層の間に岩石の流れが存在するからです。ベニオフ帯の大陸側の断層面は、大陸側の花崗岩層とベニオフ帯の境界であり、ベニオフ帯の大洋側の断層面は海洋底の玄武岩層とベニオフ帯との境界です。ベニオフ帯は、海洋底の玄武岩層と大陸の花崗岩層との間に30kmの隙間をつくって流れ込む岩石の固体流動帯なのです。
3 大地震のメカニズム
大地震のメカニズムは次のようになります。

  

(1)断層面付近で大きな地震が発生するとベニオフ帯の岩石流動が促される。(図A)
(2)海溝の口に積もっている陸側からの岩石が重力でベニオフ帯に流れ込む。(図A)
(3)海溝の口に空きが生まれ陸側の岩石がそこに流れ込む。(図B、図C)

(4)日本列島を構成する陸側の岩石に海溝に向かう固体流動が発生する。この際に余震が発生します。

(5)日本列島全体が流動する。だから余震の範囲が広範囲に及ぶのです。

震源からの地震波から少し遅れて海溝へ向かう固体流動が起こります。東日本大地震の運動は、このような、異なるが関連した二種類の運動が重なったものです。そのため、地震の大きさを測る尺度は、最初は地震波のみから推定され、ついで、地殻流動に伴う揺れを考慮して修正されたのです。